『ひよっこ』~日常の豊かさを感じさせる朝ドラ~
最近、毎日を楽しみにしてくれている 連続テレビ小説『ひよっこ』(脚本:岡田惠和)
3作品続いた「時代に翻弄される成功者物語」とは違う、「その時代を生きていた市井の人々の物語」をじっくり描くというのがこの作品の軸となっている。
(これは、昨年大ヒットした『この世界の片隅に』とも共通したものを感じる)
第11週「あかね荘にようこそ!」6月16日(金)の回は、そんな『ひよっこ』の良さがよく分かる回であった。
はい、バーグあがった! たまってるぞ。早く持ってけ!
日常でよくある焦りからくる“怒り”。そんな“怒り”を受けた側もやり返してしまい、「怒りの連鎖」が起きる。
俺もさ、気をつけてはいるけど、忙しいと、ついこう声が大きくなって。「はい、持ってけ」 とか。そういうのほら、高ちゃんとかはあれだけど、みね子はひょっとしたら怖がってんのかなと思って。
省吾(佐々木蔵之介)は修行していたレストランや軍隊で辛いと感じていたことを、みね子(有村架純)にも感じさせてしまったのではないかと後悔していた。
普段見過ごしてしまいがちなことに「他者への想像力」を働かせ、一歩立ち止まって考えてみる。これは、みね子の語りでもよく見られる。
ここには大勢の乙女たちがいました。みんなそれぞれに、私とおんなじように物語があります。なんだかそれって、すごいなぁと思います。そんな物語が、ものすっごくたくさんあるのが、東京なのかなぁって思いました
今まで考えもしなかったけど、食べ物屋さんが並ぶ商店街の裏には、こんな工場が日本中にあるんだなぁと思ったら、なんだか楽しくなります
そんな相通じる部分もあり、みね子はすずふり亭で楽しくやれているのかもしれない。そのように感じた。
こんな、日常のちょっとした出来事・違和感を逃さずに描き、積み重ねていく。
これが『ひよっこ』の魅力だと思う。
(出典:5分で『ひよっこ』第10週~谷田部みね子ワン、入ります)
ちなみにこの後、高子(佐藤仁美)が
高ちゃんとかはあれだけど
という省吾の言葉に対して、
でも、まぁ、あれですよねえ。
とやり返し、
料理があがってなかなか運べない時、 「早く持っていけ」って言われると、 ちょっと、腹が立ちますよね。
まぁでも、軽~く復讐させて頂いてます。
と先ほどまでのイイ話と真逆の発言をしながらも、みんな笑っていた。
それもまた日常。